断熱材特集(種類・特性・メリットで比較)
快適な住環境づくりや建物の耐久性を高めるためには、適切な断熱材を使うことが大切です。
グラスウール、ロックウール、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、など、さまざまな種類がある断熱材の比較ポイントをご紹介します。
断熱材の役割とは?

- 冬は暖かく、夏は涼しく、快適な環境を作る
- 冷暖房の効率を上げて、光熱費のコストを削減する
- 寒暖差から建物を守り、耐久性を高める
断熱材の種類と違い+主なシリーズまとめ
断熱材は、素材の違いにより大きく「無機繊維系」「発泡プラスチック系」「有機繊維系」「木質繊維系」「天然素材系」の5つの種類に分けられます。 商品により違いはありますが、種類ごとの主な特徴をご紹介します。
分類 | 断熱材名 | 主原料 | 熱伝導率 (W/m·K) |
防火性・ 不燃性 |
防音・ 吸音性 |
耐水 | コスト | ◯メリット | △デメリット | 主なシリーズカテゴリ | ||
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無機繊維系 | ![]() |
グラスウール 繊維径7~8㎛ |
10K | グラス繊維 | 0.035 〜0.045 | 不燃性 | 高 | 低 (要防湿層) | 低 | ◎安価で流通が多い ◎防音性が高い ◎施工しやすい | ×吸湿すると性能劣化 △正しく施工しないと隙間ができやすい ※デメリット解消した商品も | アクリア パラボード マグロール・ボード |
16K | ||||||||||||
24K | ||||||||||||
32K | ||||||||||||
高性能グラスウール 繊維径4〜5μm |
16K | 〜 0.035 | 不燃性 | 高 | 低 (要防湿層) | 中程度 | ◎高断熱性能 ◎防音・不燃性 | ×価格はやや高め △防湿対策が必須 | アクリアUボード | |||
24K | ||||||||||||
![]() |
玄武岩 ・ 高炉スラグ |
約0.038 | 不燃性 | 高高 | 中 | 中程度 | ◎防音性・不燃性 ◎断熱性・耐熱性が高い 〇比較的高強度 〇比較的安価 |
×湿気に弱く防湿処理が必要 ×直接触れるとチクチクする △やや重く扱いに注意 |
アムマット MGボード・マイティロール ロクセラムマット・フェルト |
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発泡プラスチック系 | ![]() |
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS) | 気泡が 不均一 |
ポリスチレン樹脂 | 約0.038 | 可燃性 | 低 | 高 | 低〜中 | ◎軽量・安価 〇加工が簡単 |
×可燃性 (※) ×紫外線・熱に弱い (※) ×燃焼時有毒ガス発生リスク (※) |
フクフォーム |
押出法ポリスチレンフォーム(XPS) | 気泡が均一 | ポリスチレン樹脂 | 約0.028 | 可燃性 | 低 | 高高 | 中程度 | ◎断熱性・耐水性◎ ◎強度が高い 〇外張り施工向き |
×可燃性 (※) ×紫外線・熱に弱い (※) ×燃焼時有毒ガス発生リスク (※) |
スタイロフォーム ミラフォーム カネライトフォーム |
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ポリウレタン樹脂 | 0.020 〜 0.024 |
難燃 (自己消火性) |
中程度 | 高高 | 中〜高 | ◎最高レベルの断熱性 ◎隙間なく密着 ◎軽量・強度もあり |
×高価 △紫外線に弱く外装保護が必要 |
アキレスボード | |||
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1液型 (カートリッジ) |
小規模向け | ポリウレタン樹脂 | 0.021 〜 0.038 |
可燃性 (グレード次第) |
低 | 高高 | 低 | ◎隙間の充填・補修に最適 ◎低価格 |
×硬化不良リスク ×燃焼時有毒ガス発生リスク (※) |
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2液型 (ポンベ) |
大規模向け | ポリウレタン樹脂 | 0.021 〜 0.038 |
可燃性 (グレード次第) |
中程度 | 高高 | 高 | ◎隙間なく密着 ◎複雑な形状や狭所も可能 〇工期短縮 |
×専用機械が必要 ×施工が複雑で技術がいる ×燃焼時有毒ガス発生リスク (※) |
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フェノール樹脂 | 0.025 | 難燃性 | 中 | 中 | 高 | ◎超高断熱性能 ◎難燃性が高い 〇省スペース |
×非常に高価 △脆いので取り扱い注意 |
ネオマフォーム フェノバボード |
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有機繊維系 | ![]() |
ポリエステル繊維 (ペットボトル再生等) |
約0.040 〜 0.045 |
難燃処理品あり | 中〜高 | 中〜高 | 中〜高 | ◎高い安全性(ノンホルム) ◎リサイクル素材 〇施工時にチクチクしない |
×価格は中程度〜やや高 △商品により密度・断熱性能差あり |
パーフェクトバリア | ||
木質繊維系 | インシュレーションボード セルロースファイバーなど |
木繊維(木材) 古紙など |
約0.040 〜 0.050 |
準不燃〜難燃 | 中〜高高 | 中 | 中〜高高 | ◎環境にやさしい ◎調湿性 〇防音、防虫効果あるものも |
×高価 ×専門業者が必要な場合が △乾燥不十分でカビリスク |
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天然繊維系 | 炭化コルク 羊毛断熱材 など |
コルク、羊毛(ウール)など天然由来素材 | 約0.035 〜 0.050 |
素材による | 高 | 高 | 高高 | ◎自然素材 ◎調湿性 ◎安全 |
×高価 ×施工難易度が高い |
- 該当の断熱材での一般的な数値であり、商品によって異なりますのでご了承ください
- グラスウールのK(密度)と繊維径(㎛)は大きいほど断熱性能が高くなります
- 熱伝導率が低いほど、断熱性能は高くなります
- 断熱性能は熱伝導率だけでなく、放射/放流の影響や施工環境によっても変わります。
さまざまな種類がありますが、価格や施工性の良さから、無機繊維系と発泡プラスチック系が断熱材の主流です。
アウンワークスでは、主流の2種類に加えて、安全性の高い 有機繊維系 を取り扱っています。
アウンワークス取り扱い断熱材 メリットと特徴
無機繊維系断熱材
1 グラスウール

グラスウールはコスト重視の現場に最適
高性能グラスウールは「断熱性」「防火性」「施工性」バランスが◎
▼住宅の新築・リフォームにおすすめ
▼ビルや工場の建築・内装におすすめ
★グラスウールの種類と性能、施工箇所まとめはこちら
2 ロックウール

「断熱性」「防火性」「施工性」「価格」バランスが◎
▼住宅の新築・リフォームにおすすめ
発泡プラスチック系断熱材
1 ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォームは軽量で、カッターなどで簡単に切断・加工できるのが特徴の断熱材です。
生成方法の違いで押出法ポリスチレンフォーム(XPS)とビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の2種類があり、
商品によっても異なりますが大きく分けると以下のような違いがあります。
ポリスチレンフォーム(発泡ポリスチレン、EPSまたはXPS)は断熱材や構造材としての性能(熱伝導率、圧縮強さ密度など)でJIS規格に基づき「1種」「2種」「3種」および「a」「b」「c」「d」の記号で分類されます。
押出法ポリスチレンフォーム(XPS)は耐久性重視の現場に最適
「断熱性」「耐久性」「施工性」「防水性」のバランスが◎
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)はコスト重視の現場に最適
「断熱性」「施工性」「価格」のバランスが◎
★ポリスチレンフォームの性能・厚みから選ぶなら
2 硬質ウレタンフォーム

最高レベルの「断熱性」と高い密着による「気密性」に優れています。
3 発泡ウレタン 2液型(ボンベ)

発泡ウレタン2液型は自由に成形可能(現場発泡)
高い「断熱性」と隙間のない施工による「気密性」に優れています。
▼大規模向け
▼隙間埋め・部分補修・DIYに
4 フェノールフォーム

フェノールフォームは長時間の性能維持に優れています。
最高レベルの「断熱性」と高い「難燃性」「耐水性」のバランスが◎
★リフォームなど用途に応じた特化型商品も!バリエーション豊富なフェノバボードのご紹介
有機繊維系断熱材
1-ポリエステル断熱材

燃焼時に有毒ガスが発生せず、水と炭酸ガスに分解
「安全性」「施工性」「環境性」「吸音性」に優れています。
断熱材施工に必要な接着剤・工具・副資材はこちら
断熱材の接着や固定に適した接着剤・副資材や、断熱材の加工に適した工具はこちら
断熱材の選び方
- 断熱性能で断熱材を選ぶなら?
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断熱性能は熱伝導率だけでなく、放射や対流の影響、そして施工環境によっても変わりますが、断熱材単体の性能においては、フェノールフォームと硬質ウレタンフォームが最高水準です。フェノールフォームは薄くて高性能であり、コストとのバランスも良好です。特に住宅の壁や屋根に適しており、長期間の性能維持が期待できます。
硬質ウレタンフォームはフェノールフォームに次ぐ断熱性能を誇り、気密性が高く、リフォームにも適しています。さらに、発泡ウレタンの2液型(ボンベ)も高い断熱性能を持ち、構造に密着し短時間で硬化するため、工期の短縮にも寄与します。
ただし、専門知識と専用機械が必要であり、初期投資が大きく、大規模な施工に向いています。 - 防音効果の高い断熱材は?
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防音効果の高い断熱材なら、ロックウールとグラスウールがおすすめです。 ロックウールは鉱物を繊維状に加工した断熱材で、吸音性・遮音性ともに優れています。
グラスウールはガラスを繊維状にした断熱材で、密度が高いほど防音効果も高くなり、コストパフォーマンスにも優れています。 - 安全性の高い断熱材は?
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ポリエステル断熱材は、カビや腐食、アレルギーや健康リスクが少なく安全性に優れ、特に健康住宅や環境配慮型住宅に向いています。
吸音性も高いため、小さな子どもやペットがいる家庭、DIY・リノベーションで快適さを重視したい場面にもおすすめです。