【10周年特別企画】衛生陶器メーカー「ジャニス工業」様インタビュー
衛生陶器メーカー「ジャニス工業」のいままでとこれから
アウンワークス10周年を記念し、日頃から多大なるご支援をいただいているメーカー様の「ものづくりの志」を紐解くインタビュー連載。本記事では、衛生陶器メーカー・ジャニス工業様をクローズアップ。看板商品誕生の裏側にあるメーカーとしての戦略的なこだわりや、現場の声を形にする熱い想い、そして次の10年に向けた展望をじっくりとお聞きしました!
今回お話をお伺いしたのは・・・
ジャニス工業株式会社松本一路 様
まずは、松本様のご経歴とアウンワークス担当になられた経緯を教えてください。
松本様: 私は地元・愛知県の半田市出身で、本社がある常滑市のすぐ隣で育ちました。当初は「地元で就職しよう」と縁あってジャニス工業に入社したのですが、本社勤務は最初の1年だけで、気がつけば15年以上、東京を拠点に走り回っています(笑)。
中部圏も魅力的ですが、東京はやはり市場の規模が大きく、やりがいもひとしおです。アウンワークス様との取引も5〜6年になりますが、特にコロナ禍を経て、お客様の買い方がガラリと変わったのを実感しています。
かつては「問屋さんに頼むのが当たり前」だった職人さんたちも、今ではECを賢く使い、浮いた時間を自分の仕事や休息に充てるようになっていたり、工務店様、工事店様も世代交代が進みECに対する抵抗感が薄い世代の方々が増えてきている印象です。この変化の波を肌で感じながら、ECというプラットフォームの重要性を再認識しているところです。
ジャニス工業様といえば、焼き物の街・常滑に根ざしたものづくりが特徴ですね。
松本様: はい。常滑は古くから水瓶や土管といった「大きな焼き物」を得意としてきた街です。その技術を応用して今の衛生陶器(トイレなど)があります。
「衛生陶器」は美しい光沢ある白色で、吸水性が低く、水まわりを清潔に保つのに適した性質を持っています。衛生陶器は、日本国内のさまざまな環境に適した製品とするため、JIS規格(JIS A 5207)で素地自体の規格だけでなく寸法・強度・吸水率等こまかに基準が設けられております。弊社としてJIS規格に則り製造から工程の管理まで さまざまな工夫を重ねています。
たとえば、あえて「オートメーション化しすぎない」ことも工夫の一つです。看板機能である『フロントスリム』のような1cmの削り出しは、機械だけで作ろうとするとどうしても精度に限界があり、湿度などで変形してしまいます。陶器は薄く作るほど変形しやすくなります。このデザインは、設計の工夫、製造工程の管理、高い技術を持つ職人の手によって実現しています。
大手メーカー様と同じ土俵で価格競争をするのではなく、ジャニスにしかできない「手の込んだニッチな強み」を大切にしたい。JIS規格よりもさらに厳しい自社基準を設け、自信を持って現場へお届けしています。
アウンワークスでも人気の「スマートクリン」ですが、なぜ「業界最小クラス(奥行645mm)」という極限のサイズにこだわったのでしょうか。
松本様: 実は弊社がタンクレストイレ市場に参入したのは2011年で、大手メーカー様と比較すると最後発だったんです。最後発である以上、普通に作ったのでは勝てない。そこで徹底的に市場調査を行い、他社が踏み込んでいない「サイズによる差別化」を最大の武器に据えました。
当時、新築着工件数が減っていく一方で、リフォーム需要は確実に伸びると踏んでいました。特に都心部や都市近郊の住宅では、階段下のデッドスペースにトイレがあったり、和便器から洋便器へのリフォームで空間が極端に狭かったりする現場が非常に多いんです。
「あと数センチあればドアが閉まるのに」という現場は多いですよね。
松本様: まさにそこです。一般的なタンクレストイレよりも数センチ短い「645mm」というサイズは、立ち座りのスペースを劇的に変えます。営業トークとしても「業界最小ですよ」というのは非常に分かりやすく、弊社を知っていただく絶好の切り口になりました。
結果として、狭小地の多い東京、神奈川、千葉などの都市圏を中心に「このサイズじゃないと納まらない」という指名買いをいただけるようになり、今では弊社の看板商品へと成長しました。
日本六古窯に数えられる常滑焼の町にジャニス工業様は本社を構えています。
大手では機械化されてしまうような作業もジャニス工業様では職人の手で仕上げています。
「フロントスリム」はどのようにして生まれたのでしょうか?
松本様: 実は、ある営業社員のアイデアがきっかけなんです。「小便器の先端技術を大便器に応用すれば、もっと掃除しやすくなるんじゃないか?」という会議での一言が、今のジャニスの代名詞になりました。
このフロントスリムのすごさは、実際に使って、掃除を比べていただくと一番よく分かります。よくあるのが、1階には他社の大手メーカー様の多機能モデルを入れ、2階にはコストを抑えるために弊社のトイレを施工いただくというケースです。
ところが、実際に住み始めてみると、お客様から「2階のジャニスのトイレの方が圧倒的に掃除が楽だ」という声をいただくんです。1階のトイレは縁(ふち)の裏側の汚れが気になるけれど、ジャニスはスッと拭くだけで綺麗になる。「これなら1階もジャニスにすればよかった」と言っていただけることも少なくありません。
また、業界最小クラスの「スマートクリーン(奥行645mm)」も、後発メーカーとしてどう差別化するかを徹底的に考え抜いて生まれた製品です。都心のマンションや階段下の狭いトイレなど、「他社のタンクレスでは入らない」という現場の救世主として選ばれています。
現場の声がダイレクトに開発に届く、このフットワークの軽さこそがジャニスの哲学ですね。実は、私自身のアイデアが発端となって開発された商品もあるんです。それが、人工肛門の方(オストメイト)が使いやすいように設計された介護・店舗向けの特殊な便座です。
現在、公共施設や店舗では「合理的配慮」が義務化されており、ユニバーサルデザインの重要性が非常に高まっています。しかし、既存の製品だけでは十分にカバーしきれないケースもありました。そこで、現場の切実なニーズを汲み取り、オストメイトの方が排泄物を処理しやすく、洗浄しやすい専用の形状をセットアップしたんです。
数あるラインナップの中で、マニアックな名品や松本様が個人的に注目してほしい商品はありますか?
松本様: ぜひ注目していただきたいのが、「陶器製化粧棚」です。最近のレトロブームもあってか、「こういうシンプルな陶器の棚を探していた」というお客様が増え、売上が伸びているんです。
また、業界最小クラスの「スマートクリーン(奥行645mm)」も、後発メーカーとしてどう差別化するかを徹底的に考え抜いて生まれた製品です。都心のマンションや階段下の狭いトイレなど、「他社のタンクレスでは入らない」という現場の救世主として選ばれています。
また、二色のコントラストが美しい「ツートンカラーのトイレ」も、意匠性を大切にした住宅などで需要がありますね。大手さんがあまり手を出さない、こうした「遊び心のある商品」もジャニスならではの魅力だと思っています。
4月に発刊される新しいカタログでは、洗面のラインナップを広げています。陶器ならではの美しさを感じられる手洗い器などが多く掲載されますので、ぜひ皆さま楽しみにしていてください。
「フロントスリム」はお手入れを簡単にするジャニスオリジナルのトイレフチ形状。
従来のフチ形状では、お掃除がしにくかった、便器手前のフチを完全になくし、つまんでサッとひと拭きでお掃除ができます。
アウンワークス10周年。ジャニス工業様は次の10年に向けて、どのような展望をお持ちですか?
松本様: 弊社は創業90年を超えたので、次の10年で創業100周年を迎えます。これからは住宅向けだけでなく、介護福祉や非住宅分野にもさらに力を入れていく予定です。
アウンワークス様とは、単にモノを売るだけでなく、例えば新商品発表会を動画でライブ配信したり、オンライン上でのVR展示会を企画したりと、デジタルの力をもっと活用していきたいですね。職人さんたちの声をリアルタイムに拾い上げ、一緒に「次の10年のスタンダード」を作っていければと考えています。
最後に、アウンワークスを利用している職人の皆様へメッセージをお願いします。
松本様: 業界シェアとしては大手にはまだまだ及ばないメーカーですが、だからこそどこよりも皆様の困りごとに寄り添いたいと思っています。
「ジャニスってどうなの?」と思っている方も、まずは一台、現場で使ってみてください。施工性の良さ、手入れのしやすさに、きっと納得していただけるはずです。これからも皆様の仕事を支えるパートナーとして精進してまいりますので、ジャニス工業をどうぞよろしくお願いいたします!
松本様、ありがとうございました!今後ともアウンワークスをどうぞよろしくお願いいたします。
今回お話をお伺いしたのは・・・
愛知県常滑市を拠点に、生活に密着した“便器”や“洗面器”などの衛生陶器のメーカーとして、1935年創業以来快適な環境づくりをお手伝いしています。



